60歳になって田舎暮らしをする前に考えておきたいこと、そのメリットとデメリット

60代からの暮らし
Pocket

60歳を迎え、定年退職や子育てがひと段落したことで、都会の喧騒を離れ、のどかな田舎でのんびりと暮らしたい――そう考える方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ田舎暮らしを始めるとなると、想像以上に課題や準備が必要になることも。田舎暮らしにはたくさんの魅力がありますが、その一方でデメリットも無視できません。

この記事では、60歳から田舎暮らしを考える際に知っておきたいポイントや、そのメリット・デメリットを整理してご紹介します。田舎暮らしを後悔しないために、ぜひ参考にしてみてください。

田舎暮らしのメリット

自然に囲まれた健康的な生活

田舎暮らしの最大の魅力は、自然の豊かさです。四季折々の風景や鳥のさえずり、星空の美しさ、そして新鮮な空気や水――都会では感じられない自然の恩恵が、心と体に深い癒しをもたらします。例えば、朝は鳥の声を聞きながら散歩をし、日中は庭の手入れや畑作業で軽く汗を流す、といった日常が自然と健康的な生活リズムを作り出します。ウォーキングやサイクリングなども楽しみやすく、体を動かすことが生活の一部になるため、運動不足や生活習慣病の予防にもつながります。
また、家庭菜園で野菜や果物を育てれば、無農薬の新鮮な食材を手に入れられます。自分で育てた野菜は、味わい深く格別なもの。栄養価も高く、自然と健康志向の食生活を送れるでしょう。

 

生活費が抑えられる

田舎は都会に比べて物価や住宅費が安いことが多く、生活費を大きく節約することができます。特に住居費は、都会のマンションと比べると格段に安く、広々とした土地付きの一軒家が手に入ることも珍しくありません。賃貸物件でも、都会と比べて家賃が抑えられるため、経済的な負担を大きく軽減できます。
さらに、家庭菜園や地元農家の直売所を活用することで食費を抑えられるだけでなく、旬の食材を安く手に入れられる楽しみもあります。光熱費も、寒冷地や山間部を除けば都会ほどかからないことが多く、総じて質素で無駄のない暮らしを実現しやすい環境です。

 

スローライフが実現できる

都会の忙しい日常から離れ、時間に追われないスローライフを楽しめるのも田舎暮らしの大きな魅力です。静かな環境の中で、読書や手芸、家庭菜園、DIYなど、自分の好きなことにゆっくりと時間を使えます。日々の雑事に追われることなく、穏やかな時間を過ごすことで、心にゆとりが生まれ、ストレスが軽減される効果も期待できます。
また、季節ごとの自然の変化や地域のイベントを楽しむことで、時間の流れがゆったりと感じられます。例えば、春には山菜採りやお花見、夏には川遊びや花火、秋には紅葉狩りや収穫祭、冬には雪景色や温泉を楽しむ――そんな自然と共にある暮らしは、都会にはない贅沢な体験と言えるでしょう。

人間関係が密になる

田舎では地域コミュニティのつながりが強く、人との距離が近いのが特徴です。お互いに顔見知りになりやすく、困ったときには自然と助け合う文化が根付いています。例えば、隣人から野菜をお裾分けしてもらったり、ちょっとした用事を手伝ってもらったりと、温かな交流が日常的にあります。
都会では希薄になりがちな「ご近所付き合い」ですが、田舎では人とのつながりを感じやすく、孤独感を抱きにくい環境です。特にシニア世代にとって、コミュニティがしっかりしていることは安心感につながる大きな要素となります。
地域の行事やボランティア活動に参加することで、新たな友人や仲間を作ることもでき、老後の生活に彩りが加わるでしょう。

子供や孫との交流の場としても魅力的

田舎暮らしの家は都会に比べて広く、子供や孫が遊びに来やすい環境が整っています。自然豊かな田舎では、子供たちが思い切り遊べるスペースがあり、都会では体験できない川遊びや山登り、虫取りなどを楽しむことができます。親子三世代で過ごす時間が増えることで、家族の絆も深まり、貴重な思い出づくりの場となるでしょう。

田舎暮らしのメリットは、心と体をリフレッシュできる健康的な環境、経済的な負担の軽減、そしてコミュニティや家族とのつながりが深まることにあります。都会の便利さとは違う価値を見つけ、自分らしいライフスタイルを実現できる点が、田舎暮らしの大きな魅力です。

 

田舎暮らしのデメリット

交通の不便さ

田舎では公共交通機関が発達していないことが多く、生活の移動手段が主に車に依存する点は大きなデメリットです。バスや電車の本数が極端に少ない地域もあり、日常的な買い物や通院、役所手続きなどをするにも車が必要になります。特に高齢になると運転技術や判断力が低下することもあり、車がないと生活が成り立たない状況に不安を感じる方もいるでしょう。
また、雪が多い地域や山間部では、冬の道路事情が厳しくなり、運転自体が困難になることも考えられます。さらに、ガソリン代や車の維持費もかかるため、生活コストが想定以上に増えることもあります。

医療機関や施設の不足

都会に比べて田舎では病院や医療機関の数が少なく、近くに専門的な医療が受けられる場所がないことがよくあります。風邪や軽いけがなら問題ないかもしれませんが、大きな病気や緊急時には遠方の病院まで移動しなければならず、時間的なロスが命取りになる可能性もあります。
また、かかりつけ医を見つけるのが難しかったり、専門医が地域にいなかったりするケースもあります。高齢になるにつれて通院の頻度が増えることを考えると、この点は非常に重要です。加えて、介護施設や訪問介護サービスが不足している地域も多く、将来的な生活の質にも影響するでしょう。

 

仕事や収入源の確保が難しい

田舎は都会に比べて雇用の選択肢が限られ、仕事を見つけるのが難しい場合が多いです。定年退職後も「少し働きたい」「社会とのつながりを持ちたい」と考えている方にとって、希望に合った仕事が見つからない可能性は高いでしょう。特に専門的なスキルがない場合、パートやアルバイトの求人も少なく、収入源を確保するのが難しくなります。
一方で、リモートワークや副業ができるスキルや仕事がある場合は田舎暮らしでも問題ありませんが、インターネット環境が整っていない地域もあるため、事前の確認が必要です。

地域コミュニティへの馴染みにくさ

田舎のコミュニティはつながりが強い反面、移住者が馴染むまでに時間がかかることもあります。昔からの住民同士の結びつきが強い地域では、「よそ者」として見られることも少なくありません。地域の行事や習慣、ルールなどを尊重し、積極的にコミュニケーションを取る姿勢が求められるため、人間関係を築くのが苦手な方にとっては負担になるかもしれません。
また、プライバシーが少ないこともデメリットの一つです。人口が少ない分、近隣住民が顔見知りになることが多く、ちょっとした噂が広まることもあります。都会の「適度な距離感」が心地よい方にとっては、ストレスを感じる場面が増えるかもしれません。

⑤ 生活インフラの不便さ

田舎では生活に必要なインフラが都会ほど整っていない地域もあります。例えば、スーパーやコンビニ、ドラッグストアが遠く、ちょっとした買い物にも車で数十分かかることは珍しくありません。さらに、宅配サービスが利用できない地域もあり、日常生活の不便さを感じることも多いでしょう。
また、通信インフラも都会ほど発達しておらず、インターネット回線が遅かったり、電波が入りにくい場所もあります。リモートワークやオンラインでの手続きが必要な場合、ストレスになることもあるでしょう。
加えて、降雪地域では冬場に水道が凍結したり、山間部では電気やガスの供給が安定しないこともあります。日常生活に必要な設備が整っていない環境では、余計な手間やコストが発生することも考えられます。

孤立するリスク

田舎では人口が少ないため、周囲に人がいない「一人きり」の環境になることもあります。最初は静かな環境を楽しめても、時間が経つにつれて孤独を感じることもあるでしょう。特に高齢になると、地域活動に参加する機会が減り、外出の頻度も低くなるため、孤立するリスクが高まります。
また、万が一のトラブル(体調不良や災害など)が起きた場合、助けを呼ぶのが遅れてしまうことも考えられます。隣人とのつながりが重要になる一方で、その関係を築くのが難しいと感じる人にとっては大きな不安要素になるでしょう。

田舎暮らしのデメリットは、交通や医療といった生活基盤の不便さ、人間関係の課題、仕事の選択肢の少なさなどが挙げられます。自然や静けさを楽しむ一方で、都会の便利さを失うことへの覚悟と、事前の対策が必要です。デメリットをしっかり理解し、現実的な視点で田舎暮らしを検討することが、後悔しない移住への第一歩となるでしょう。

 

スポンサードリンク



 

 

田舎暮らしを始める前に考えておきたいポイント

移住先を下見し、実際の生活を体験する

田舎暮らしを決める前に、実際にその土地を訪れて短期間でも生活してみることをおすすめします。観光地としての魅力と生活のリアルは違うものです。気候、交通、医療、近隣住民との関係など、実際に体験して確認することで後悔を減らせます。

移住後の生活費をシミュレーションする

田舎暮らしは安いと言われますが、固定費(車の維持費、光熱費など)や移動費がかかることを忘れてはいけません。収入源がない場合、退職金や年金だけで生活できるかどうか、しっかりとシミュレーションを行いましょう。

医療や生活支援サービスの確認

将来的に医療が必要になったときのことを考え、近隣に病院があるかどうか、訪問医療や介護サービスが整っているか確認しておくと安心です。

趣味や新しい生きがいを見つける

田舎でのんびりと暮らすだけでは時間を持て余してしまうことも。ガーデニング、畑作り、釣り、DIYなど、自分が楽しめる趣味や生きがいを見つけ、充実した日々を送る準備をしておきましょう。

移住に向けた周囲との相談

田舎暮らしを決断する前に、家族や友人としっかり話し合うことも大切です。孤立しないよう、周囲の理解やサポートを得ながら移住計画を進めると安心です。

 

まとめ

田舎暮らしは「準備」と「覚悟」がカギ
田舎暮らしには心癒される環境や経済的なメリットがある一方で、交通や医療面などのデメリットも存在します。60歳から新たなスタートを切るためには、事前の準備や現実的なシミュレーションが欠かせません。「田舎に住んでみたいけれど不安…」という方は、短期間の移住体験やお試し暮らしを利用してみるのも一つの手です。

メリットとデメリットをしっかり理解した上で、自分らしいライフスタイルを見つけられれば、田舎暮らしはきっと素晴らしい選択肢になるでしょう。60歳からの新しい挑戦として、田舎暮らしの第一歩を踏み出してみませんか?

 

スポンサードリンク



タイトルとURLをコピーしました