秋の夜風が少しずつ涼しくなり、ふと空を見上げたくなる季節になりました。
夏の強い日差しに疲れた心と体を労わるように、夜空に浮かぶ月はどこかやさしく、そして懐かしい存在です。
60歳を過ぎると、時間の流れが以前よりも早く感じられるようになります。忙しさの中で気づかぬうちに疲れが溜まっていたり、気持ちが沈みがちになることもあるかもしれません。そんな時こそ「月との時間」を暮らしに取り入れることで、心がふっと軽くなるのです。
月を眺めると心が整う理由
昔から月は「心を映す鏡」と呼ばれてきました。静かな夜に空を仰ぎ、月を見つめるだけで呼吸が自然と深くなり、張り詰めていた気持ちがゆるむことがあります。
科学的にも、自然の景色を眺めることは副交感神経を優位にし、リラックス効果をもたらすことが知られています。夜空の静けさや月の光は、私たちの心を穏やかに導いてくれるのです。
「今日はなんだか疲れたな…」と思った夜、スマホを閉じて空を見上げてみる。ほんの数分でも、気持ちがリセットされるのを実感できるでしょう。
お月見の文化と思い出
日本には古くから「お月見」の習慣があります。平安時代には貴族が船の上から月を眺め、和歌を詠む風流な行事でした。江戸時代になると庶民の間にも広まり、収穫への感謝を込めてススキや団子を供える形が一般的になりました。
子どもの頃、お団子やススキを飾って家族でお月見をした記憶がある方も多いのではないでしょうか。縁側に腰掛け、母や祖母が作ってくれた団子を食べながら見た満月は、心に残る温かい思い出です。
今では大がかりに準備をしなくても、湯呑みにお茶を入れてベランダで月を眺めるだけで十分。むしろ「ひとりのお月見」だからこそ、落ち着いた気持ちでじっくり月と向き合える贅沢があります。
月光浴という小さな癒し習慣
欧米では「ムーンバス(月光浴)」という言葉があり、月の光を浴びることは心を浄化し、眠りを深くするといわれています。
窓を開けて月明かりの下で深呼吸をするだけでも、日中の疲れがスッと溶けていくように感じられるでしょう。部屋の照明を落とし、月の光にだけ包まれて過ごす時間もおすすめです。
お気に入りのハーブティーや温かいお茶を飲みながら静かに過ごせば、心がゆるみます。夜風と虫の声が寄り添い、まるで自然のヒーリング音楽のように癒しを与えてくれるはずです。
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満月と新月、それぞれの過ごし方
月には満ち欠けがあります。特に「満月」と「新月」は、古くから人々の暮らしに影響を与えてきました。
満月の日:感謝の気持ちを伝える日。今ある幸せを数えて心に刻む。
新月の日:新しい願いを立てる日。心に描いたことをノートに書き留める。
このように月のリズムに合わせて過ごすと、暮らしにメリハリがつき、自然の流れに寄り添う感覚が持てます。
月に願いをかける時間を持つ
月は、古くから「願いを叶える象徴」とされてきました。紙に不安や心配ごとを書き出して、それを月に委ねるように手放す。あるいは、心の中で「こうなりたい」という希望を語りかける。
そんな小さな儀式を取り入れるだけで、不思議と心が整理され、前向きな気持ちになれるのです。
60歳を迎えた今だからこそ、若い頃には気づかなかった「月と心のつながり」を実感できるのかもしれません。
まとめ
9月は昼と夜の長さがほぼ同じになる「秋分」の時期でもあります。光と闇のバランスが釣り合うこの季節に、月を眺める時間を持つことは、私たちの暮らしにも心のバランスをもたらしてくれます。
お団子を用意しなくても構いません。ベランダで空を見上げ、月の光に包まれるだけでいいのです。
「今ここに生きている」という実感を、月がそっと教えてくれるはず。
この秋は、ぜひ“月とのつきあい方”を見つけてみてください。
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