こんにちは。日ごとに春の気配が濃くなり、スーパーの店先にも鮮やかな緑の野菜が並ぶ季節になりましたね。
さて、最近ニュースや雑誌で「一汁三菜(いちじゅうさんさい)」という言葉を耳にすることが増えた気がしませんか?2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、私たちの伝統的な食スタイルが世界中で賞賛されています。
でも、私たちはどうでしょう。日々の暮らしの中で、ついつい「一品で済ませてしまおう」とか、「伝統なんて難しそう」と、和食の良さを後回しにしてはいないでしょうか。今日は、私たちが受け継いできた素晴らしい和食の文化、そして「一汁三菜」がもたらす心身への恩恵について、考えてみたいと思います。
「一汁三菜」というパズルの美しさ
「一汁三菜」と聞くと、なんだか料亭のような贅沢な食卓を想像して身構えてしまうかもしれません。でも、その本質はとてもシンプルで合理的です。
一汁三菜の基本構成はこうです。
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主食: エネルギー源となる「ご飯(できれば炊きたて!)」
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汁物: 水分補給と発酵食品を摂る「お味噌汁」
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主菜: 体を作るタンパク質(お魚、お肉、卵、大豆製品)
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副菜: ビタミンやミネラルを補う(煮物や和え物)
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副々菜: 箸休めや彩り(お浸し、酢の物、お漬物)

この形が整うと、自然と栄養のパズルが完成するようにできているのです。炭水化物、タンパク質、脂質、そして食物繊維。これらを計算しなくても、この「器の数」を意識するだけで、私たちの体は必要な栄養を受け取ることができます。先人たちが長い年月をかけてたどり着いた、最も効率的で健康的な食のカタチ。それが一汁三菜なのです。
「私は毎朝、必ずお味噌汁を作ることから一日を始めます。湯気とともにだしの香りが広がると、心までしゃんとする心地がします。具材はその時の冷蔵庫にあるもので。朝の一杯が、体を内側から温めてくれます。」
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大人世代にこそ知ってほしい、和食の圧倒的なメリット
私たち60代という世代は、これから先の人生をいかに「機嫌よく、健やかに」過ごすかが大きなテーマです。その鍵を握っているのが、実は和食の構成要素に隠されています。
1. 「だし」の魔法で、無理なく減塩
年齢を重ねると気になるのが血圧ですね。減塩は大切ですが、味が薄い食事は味気ないものです。そこで活躍するのが「うま味」です。昆布や鰹節、煮干しからとった「だし」を効かせると、塩分が少なくても満足感を得られます。お味噌汁の一杯も、だしがしっかりしていれば、お味噌の量は半分でも驚くほど美味しく感じられます。

「我が家の食卓に欠かせないのが、自分で漬けた梅干しやらっきょう、白菜のお漬物です。市販のものも便利ですが、自分で漬けると塩分も調整できますし、何より発酵の力が体を整えてくれる実感が湧きます。少しずつ小皿に盛れば、立派な『副々菜』の完成です。」


2. 理想的なPFCバランス
「PFCバランス」という言葉をご存知でしょうか。タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の比率のことです。欧米風の食事は脂質に偏りがちですが、一汁三菜の和食は、お魚を中心とした良質なタンパク質と、ご飯の炭水化物がバランスよく組み合わさっています。これが、日本人が長寿である理由の一つと言われています。
3. 「噛む」ことで脳を活性化
和食には、根菜の煮物や海藻、お浸しなど、適度な歯ごたえのある食材が多く登場します。よく噛んで食べることは、消化を助けるだけでなく、脳への刺激にもなります。一汁三菜をゆっくり味わう時間は、認知機能の維持にもつながる大切な習慣なのです。
伝統を継承するために、私たちが「気をつけること」
素晴らしい伝統だと分かっていても、毎日完璧にこなすのは大変です。これからの私たちが大切にすべきなのは、「正解」を求めることよりも「心地よさ」を継続することではないでしょうか。
完璧主義を手放す
「三菜揃えなきゃ!」とプレッシャーに感じる必要はありません。忙しい日や体が重い日は、具だくさんのお味噌汁(一汁)と、焼き魚(一菜)、それにお漬物があれば十分です。お味噌汁の中に、冷蔵庫の余り野菜をたっぷり入れれば、それは立派な「副菜」の役割も果たしてくれます。「一汁二菜」でも「一汁一菜」でも、和食の精神がそこにあれば良いのです。
「まごわやさしい」を合言葉に
献立に迷ったら、この魔法の言葉を思い出してください。
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ま: 豆(納豆、豆腐、味噌)
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ご: ごま(ナッツ類も含む)
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わ: わかめ(海藻類)
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や: 野菜
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さ: 魚
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し: しいたけ(きのこ類)
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い: いも
これらを少しずつ食卓に取り入れるだけで、伝統的な和食の深みが増していきます。伝統を繋ぐといっても、実は一番贅沢なのは『旬』を味わうこと。私は家庭菜園で育てた野菜を、その時期に一番美味しい方法でいただくようにしています。土に触れ、季節の恵みをいただくことは、和食の原点に近い気がしています。
器を楽しむ、目でお腹を満たす
和食の楽しみは味だけではありません。季節に合わせた器を選び、盛り付けを工夫する。たとえ買ってきたお惣菜であっても、お気に入りの小皿に移し替えるだけで、心が満たされます。視覚的な満足感は、食べ過ぎを防ぎ、食事の時間を「作業」から「癒やし」へと変えてくれます。
まとめ:次世代へつなぐ「心の豊かさ」
和食の伝統を守る、と言うと何だか大きな責任のように感じますが、実はもっと身近なことです。私たちが美味しそうにご飯を炊き、季節の野菜をお浸しにし、「美味しいね」と言いながら食べる。その姿こそが、最高の伝統継承ではないでしょうか。
子供や孫たちが遊びに来た時、食卓に並ぶ色とりどりの小皿を見て、「おばあちゃんの家のご飯は落ち着くね」と言ってもらえる。そんな記憶の種を蒔いていくことが、無形文化遺産を未来へ繋ぐ一歩になるのだと信じています。
今日のお夕飯、皆様は何を作りますか? 少しだけ丁寧にだしをとって、旬の香りを食卓に添えてみませんか。
和食の知恵は、私たちの心と体をどこまでも優しく支えてくれるはずです。「こうした日々の工夫を忘れないよう、私はレシピアプリに自分なりの作り方を記録しています。自分だけの『令和の家庭の味』を書き留めておくことも、立派な文化の継承。皆様も、ご自身の『我が家の味』を大切に育んでみませんか?」
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