秋になると、スーパーや八百屋さんに並ぶ果物や野菜の顔ぶれががらりと変わります。ぶどう、梨、柿、さつまいも、かぼちゃ、きのこ…。どれも鮮やかで、見ているだけで季節の豊かさを感じます。
60代を迎えると「量」よりも「質」を大切にしたくなる方が多いものです。たくさん買って食べきれずに無駄にするより、旬のものを少しずつ、丁寧に味わうほうが心も満たされます。実りの秋は、私たちの日常に“小さな喜び”を届けてくれる季節です。
旬をほんの少し買う贅沢
若い頃は「まとめ買いで節約」という考え方が中心だったかもしれません。でも今は、自分のために“ほんの少しだけ買う”ことが贅沢になります。
例えば、
ぶどうを一房だけ買って数日に分けて味わう
梨を一玉買って冷蔵庫で冷やし、夜のデザートにする
さつまいもを一本だけ蒸して、熱々を楽しむ
量を減らすことで味わいが深まり「ありがたいな」と感じられるのです。少しのものをゆっくり食べる暮らしは、60代の心と体にぴったりのリズムを生み出してくれます。
手作り保存食で楽しみを先延ばし
秋の味覚は、そのまま食べてもおいしいですが、少し手を加えると冬まで楽しめます。
ぶどうを煮詰めてジャムにする
柿を吊るして干し柿にする
赤しそや柚子でジュースを作る
きのこを下茹でして冷凍保存する
保存食は「作る楽しみ」と「食べる楽しみ」の両方を味わえます。冬に取り出して「秋に仕込んだんだな」と思い出すのも、暮らしの喜びにつながります。
また、保存食を仕込む作業は“未来の自分への贈り物”。ほんの少しの手間で、食卓も心も豊かになります。
秋の栄養を味方にする
秋の実りは、体に必要な栄養がたっぷり。60代の体を整えるには、旬の食材を取り入れるのがいちばんです。
きのこ:低カロリーで食物繊維とビタミンDが豊富。骨の健康維持に◎
さつまいも:食物繊維で腸を整え、便秘予防にも。
柿:ビタミンCが豊富で風邪予防に効果的。
里芋や大根:体を温め、胃腸の働きを助ける。
秋の食材をうまく取り入れれば、楽しみながら自然と健康を守れます。特に女性は冷えやすいので、「体を温める食材」を意識して取り入れるのがポイントです。
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思い出と重なる実りの味
食べものは、私たちの記憶ともつながっています。
「祖母が作ってくれたさつまいもの甘煮」「母の得意だった柿なます」など、秋の味覚には懐かしい思い出が重なるものです。
60代になると、自分が作る料理が“家族の思い出”になっていきます。孫や子どもに「秋といえばこの味だね」と言ってもらえるような一品を用意するのも素敵です。料理を通して“思い出を伝える”こともまた、実りの秋の楽しみ方のひとつです。
食べものから感じる“季節の循環”
秋の実りは、ただ「おいしい」だけでなく、自然のサイクルを私たちに教えてくれます。
春に芽吹き、夏に育ち、秋に実り、冬に休む。そのリズムは、人の暮らしや心のあり方とも重なります。
60代を迎えた今、「人生の実り」を感じることがあるのではないでしょうか。若い頃のような勢いはなくても、積み重ねてきた経験や人とのつながりが“豊かさ”として実を結ぶ。食べものの実りを味わう時間は、自分の歩みを振り返るひとときにもなるのです。
暮らしに取り入れる小さな工夫
実りの秋をもっと楽しむために、日常にできる小さな工夫をご紹介します。
スーパーで「今日は旬のものをひとつだけ買う」と決める
簡単な保存食を一つだけ作ってみる
果物をおやつ代わりにしてお菓子を控える
食卓に季節の彩りを添える(柿の葉や栗の皮なども演出に)
無理をしなくても、ほんの少しの工夫で「秋を味わっている」という満足感が得られます。
まとめ
「実りの秋」は、暮らしを豊かにするヒントがたくさん詰まっています。大量に買わなくても、豪華な料理を作らなくても、ぶどう一房、梨一個、さつまいも一本で十分に幸せを感じられるのです。
保存食にすれば未来の自分への贈り物になり、旬の食材を健康に取り入れれば体も心も整っていきます。さらに、秋の味覚は大切な人との思い出とも重なり、人生を豊かに彩ってくれるでしょう。
自然の恵みを“小さな喜び”に変えて暮らすこと。これこそが、60代からの秋を楽しむ大切な知恵なのかもしれません。
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